あなたは、自分を信頼できていますか?
「自分を信じよう」「自分を大切にしよう」。
そんな言葉は、よく耳にします。
ですが、いざ「自分を信頼している?」と問われると、自信を持って「はい」と答えられる人は、意外と少ないものです。
多くの人は、心のどこかで、自分を疑っています。
「自分の判断は、間違っているかもしれない」「自分には、できないかもしれない」「自分なんて、たいしたことない」
私は催眠セッションを通じて、のべ3000件以上の催眠を行ってきました。
その中で、自分を信頼できないことが、いかに多くの苦しみを生んでいるかを、目の当たりにしてきました。
今日は、「自分を信頼する」とは、本当はどういうことなのか。
そして、それによって、本当に世界は変わるのか。
お話ししていきます。
なぜ、私たちは自分を信頼できないのか
そもそも、なぜ私たちは、自分を信頼できなくなるのでしょうか。
その多くは、過去の経験から来ています。
子どもの頃、自分の意見を否定された。
失敗して、責められた。
「あなたには無理よ」と言われた。
そうした経験が積み重なると、人は、だんだん自分を信じられなくなっていきます。
そして、もう一つ。
自分を信頼できない人は、外側に「正解」を求めるようになります。
- 「あの人は、どう思うだろう?」
- 「世間では、どうするのが正しいんだろう?」
- 「専門家は、何と言っているんだろう?」
いつも、自分の外に答えを探します。
自分の内側から湧いてくる声よりも、外の声を優先するのです。
ですが、外に答えを求め続ける限り、人は、いつまでたっても安心できません。
なぜなら、自分の人生の主導権を、いつも誰かに預けてしまっているからです。
自分を信頼するとは「完璧になる」ことではない
ここで、大きな誤解を解いておきたいと思います。
「自分を信頼する」というのは、「自分は完璧だ」と思うことでは、ありません。
「自分はいつも正しい」と信じることでも、ありません。
そうではなく、自分を信頼するとは、こういうことです。
「私は、間違えることもある。失敗することもある。でも、そのときは、ちゃんと立て直せる。私は、自分の力で、なんとかやっていける」。
つまり、完璧な自分を信じるのではなく、「不完全な自分が、それでもやっていける」と信じることなのです。
ここが、とても大切なポイントです。
自分を信頼できない人は、「失敗してはいけない」と思っています。
だから、挑戦できない。
動けない。
ですが、本当に自分を信頼している人は、「失敗しても大丈夫」と知っています。
だから、安心して挑戦できるのです。
あるセッションの事例
30代の男性・Jさんのセッションでのことです。
Jさんは、独立して事業を始めたいという夢を持っていました。
ですが、何年たっても、一歩を踏み出せずにいました。
「失敗したら、どうしよう」「自分には、できないかもしれない」。
その不安が、彼を縛っていたのです。
催眠の中で、Jさんは、自分が「失敗を絶対に許せない」と思い込んでいることに気づきました。
その根っこには、子どもの頃、テストで悪い点を取って、父親に強く叱られた記憶がありました。
「失敗=自分の価値がなくなる」。
その思い込みが、彼を動けなくしていたのです。
私はJさんに、深い催眠状態の中で、こう問いかけました。
「もし、失敗しても、あなたという人間の価値は変わらないとしたら?」。
Jさんの表情が、ゆっくりと、緩んでいきました。
「失敗しても、自分は自分のままなんだ」。
そう感じられたとき、彼の中で、何かが変わりました。
その後、Jさんは、独立への一歩を踏み出しました。
「うまくいくかどうかはわからない。でも、失敗しても、自分はちゃんと立て直せる」。
そう思えるようになったからです。
自分を信頼すると、世界が変わって見える
では、自分を信頼すると、本当に世界は変わるのでしょうか。
私の答えは、「はい」です。
ただし、外側の世界そのものが、魔法のように変わるわけではありません。
変わるのは、あなたが世界を「どう見るか」、そして、世界に「どう関わるか」です。
自分を信頼していないとき、世界は、危険で、自分を脅かすものに見えます。
人の目が怖い。
失敗が怖い。
だから、縮こまって、防御的になります。
ですが、自分を信頼できるようになると、世界の見え方が変わります。
「何があっても、自分は対応できる」と思えると、世界は、それほど怖いものではなくなります。
人と関わることも、新しいことに挑戦することも、できるようになります。
すると、不思議なことに、外側の世界も、本当に変わり始めるのです。
あなたが前向きに関われば、周りの人の反応も変わる。
あなたが行動すれば、新しい出会いやチャンスが生まれる。
つまり、あなたの内側が変わることで、外側の世界も、連動して変わっていくのです。
自分を信頼できないと、人も信頼できない
自分を信頼することには、もう一つ、大切な側面があります。
それは、自分を信頼できない人は、他人も信頼できなくなる、ということです。
少し、意外に感じるかもしれません。
ですが、これは、本当によくあることです。
自分を信頼できない人は、心のどこかで、いつも不安を抱えています。
「裏切られるのではないか」「利用されるのではないか」と。
その不安が、他人への不信となって、現れるのです。
人を疑う。
本音を見せられない。
心を開けない。
そうやって、本当の人間関係を、築けなくなっていきます。
40代の女性・Tさんは、誰のことも、心から信頼できずにいました。
友人にも、家族にも、どこか壁を作ってしまう。
「いつか裏切られる」と思って、心を開けなかったのです。
催眠の中で、Tさんは、その不信の根っこが、自分自身への不信にあることに気づきました。
自分を信じられないから、「こんな自分が、人に受け入れられるはずがない」と思い込む。
だから、先に壁を作って、自分を守ろうとしていたのです。
セッションを通じて、Tさんが、少しずつ自分を信頼できるようになると、不思議なことが起きました。
人にも、心を開けるようになったのです。
すると、相手も、心を開いてくれるようになりました。
自分を信頼することは、自分のためだけではありません。
人と、本当の意味でつながるための、土台でもあるのです。
あなた自身でできるセルフワーク
ここで、あなた自身で、自分への信頼を育てるためのセルフワークをお伝えします。
一つ目は、「過去の乗り越えた経験を思い出す」ことです。
これまでの人生で、あなたが乗り越えてきたことを、思い出してみてください。
つらかったこと。
難しかったこと。
でも、なんとか乗り越えてきたこと。
きっと、たくさんあるはずです。
あなたは、これまでも、ちゃんと自分の力で、人生を歩んできました。
その事実こそが、自分を信頼する根拠になります。
二つ目は、「小さな約束を、自分と守る」ことです。
「毎朝、コップ一杯の水を飲む」「寝る前に、5分だけ本を読む」。
どんな小さなことでも構いません。
自分との約束を守るたびに、「私は、自分と決めたことを守れる」という実感が積み重なります。
その積み重ねが、自分への信頼を、少しずつ育てていきます。
ぜひ、今日から、一つだけ、小さな約束を始めてみてください。
あなたは、信頼に値する人だ
最後に、大切なことをお伝えします。
あなたは、本来、自分を信頼するに値する人です。
これまで、いろいろな経験の中で、自分への信頼を失ってきたかもしれません。
誰かの言葉で、傷ついてきたかもしれません。
ですが、それは、あなたに価値がないからでは、ありません。
ただ、信頼の感覚が、覆い隠されてしまっただけなのです。
私が催眠を通じて見守ってきたのは、自分を信頼できなかった人たちが、少しずつ、自分を取り戻していく姿でした。
催眠という技術は、自分への信頼を奪っている過去の記憶や思い込みを見つけ出し、それを優しく書き換える手助けをすることができます。
深層意識のレベルで、「自分は大丈夫だ」という感覚を、取り戻していくことができるのです。
自分を信頼できるようになると、世界は、確実に変わります。
それは、外側が変わるからではなく、あなた自身が変わるからです。
そして、あなたが変われば、世界は、それに応えるように、変わっていきます。
ぜひ、まずは、これまで乗り越えてきた自分を、認めてあげてください。
あなたは、ちゃんとやってきました。
これからも、きっと、やっていけます。
その信頼が、あなたの世界を、変えていきます。
