あなたは今、何かに苦しんでいませんか?
人間関係のこと。
お金のこと。
将来への不安。
過去の後悔。
生きていれば、誰しも、何かしらの苦しみを抱えています。
そして、多くの人が、こう願っています。
「この苦しみから、早く解放されたい」。
私も、その気持ちは痛いほどわかります。
私は催眠セッションを通じて、のべ3000件以上の催眠を行ってきました。
その方々のほとんどが、何らかの苦しみを抱えて、私のもとを訪れます。
その中で、私は一つの大切な事実に気づきました。
苦しみから解放されるために必要なのは、実は、たった1つのことなのです。
今日は、その「たった1つのこと」について、お話ししていきます。
苦しみは「出来事」ではなく「抵抗」から生まれる
まず、知っておいてほしいことがあります。
私たちは、つい「この出来事が、自分を苦しめている」と考えます。
- 「あの人が、私を傷つけた」
- 「この状況が、私を苦しめている」
- 「あの失敗が、今も私を苦しめている」
ですが、よく見つめてみると、苦しみは「出来事そのもの」から生まれているわけではありません。
苦しみは、その出来事に対する「抵抗」から生まれているのです。
「こうなるべきではなかった」「あの人は、こうすべきだった」「本当は、こうあるべきなのに」
この「べき」という抵抗。
現実を「あってはならないもの」として押し返す心の動き。
これこそが、苦しみの正体です。
つまり、出来事そのものよりも、それを「受け入れられない」という心の抵抗が、私たちを苦しめているのです。
抵抗するほど、苦しみは大きくなる
ここで、一つのたとえをお話しします。
水の中で、ボールを沈めようとすると、どうなるでしょうか。
押せば押すほど、ボールは強い力で跳ね返ってきます。
手を離した瞬間、勢いよく水面に飛び出してきます。
苦しみも、これと同じです。
「こんな感情、感じたくない」と押さえつけるほど、その感情は強くなります。
「この現実を、認めたくない」と抵抗するほど、苦しみは大きくなります。
50代の主婦・Eさんのセッションでのことです。
Eさんは、10年前に亡くなったお母さんのことで、ずっと苦しんでいました。
「もっと優しくすればよかった」「最後に言えなかった言葉がある」。
その後悔を、10年間、必死に押し込めてきたそうです。
ですが、押し込めれば押し込めるほど、その悲しみは、彼女の心の奥で大きくなっていきました。
夜、ふとした瞬間に、涙が止まらなくなる。
そんな日が続いていたのです。
催眠の中で、私はEさんに、こう促しました。
「その悲しみを、押し返さなくていいんですよ。ただ、感じてみましょう」。
すると、Eさんは、これまで押さえつけてきた感情を、初めて、ありのままに感じることができました。
涙が、止まらなくなりました。
ですが、その涙の後、彼女の表情は、不思議なほど穏やかになっていったのです。
必要なたった1つのこと、それは「受け入れる」こと
ここまで読んで、もうお気づきかもしれません。
苦しみから解放されるために必要なたった1つのこと。
それは、「受け入れる」ことです。
「受け入れる」と聞くと、こう思うかもしれません。
「我慢すること?」「諦めること?」。
いいえ、違います。
受け入れるとは、「今、こういう状況がある」「今、自分はこう感じている」という事実を、押し返さずに、そのまま認めることです。
- 「私は今、悲しいんだ」
- 「あの人は、ああいう人なんだ」
- 「この現実が、今、ここにあるんだ」
ただ、それを認める。
抵抗をやめる。
すると、不思議なことが起きます。
抵抗をやめた瞬間、苦しみは、その勢いを失っていきます。
水中のボールから手を離したように、感情は自然に浮かび上がり、そして、静かに過ぎ去っていくのです。
受け入れることは、変化の始まり
「受け入れたら、何も変わらないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
ですが、実は、逆です。
受け入れることは、変化の「始まり」なのです。
30代の男性・Fさんは、転職の失敗をずっと引きずっていました。
「あの選択は間違いだった」と、自分を責め続けていたのです。
催眠の中で、Fさんは、その失敗を「失敗」として裁くのをやめました。
「あのとき、自分は精一杯選んだんだ」と、当時の自分を受け入れたのです。
すると、何が起きたか。
自分を責めることにエネルギーを使わなくなった分、Fさんは、前を向けるようになりました。
「次は、どうしようか」と、未来に目を向けられるようになったのです。
受け入れることは、過去にとどまることではありません。
受け入れて初めて、人は前に進めるのです。
「受け入れる」と「諦める」は違う
ここで、よくある誤解を、もう少し丁寧に解いておきたいと思います。
「受け入れる」と聞くと、多くの人が、「諦める」「我慢する」と混同します。
ですが、この二つは、まったく別のものです。
「諦める」は、心の奥で、まだ抵抗が残っています。
「本当はこうあるべきなのに、仕方がないから諦める」。
その奥には、押し殺した不満が残っているのです。
一方、「受け入れる」は、抵抗そのものを手放すことです。
「今、こうなっている。それが事実だ」と、まるごと認める。
そこには、押し殺された不満が残りません。
だから、「諦めた」人は、いつまでもモヤモヤを抱えます。
ですが、「受け入れた」人は、心が、すっと軽くなるのです。
40代の男性・Qさんは、長年、自分の身長の低さを「諦めて」生きてきました。
「どうせ変えられないから」と。
ですが、その奥には、ずっと劣等感がくすぶっていました。
催眠の中で、Qさんは、初めて、自分の身長を「受け入れる」体験をしました。
「これが、自分なんだ。それでいい」。
「諦め」が「受け入れ」に変わったとき、長年の劣等感が、すっと溶けていったのです。
Qさんは、こう言いました。
「同じ事実なのに、こんなに気持ちが違うとは思いませんでした」。
受け入れることは、後ろ向きなことでは、ありません。
むしろ、最も前向きな、心の力なのです。
あなた自身でできるセルフワーク
ここで、あなた自身でできる、シンプルなセルフワークをお伝えします。
今、何か苦しいことがあるなら、静かな場所で、こう自分に問いかけてみてください。
「私は、何に抵抗しているのだろう?」
「こうあるべきなのに、そうなっていない」と感じていることは、何でしょうか。
それが見つかったら、次に、こうつぶやいてみてください。
「今、こういう状況がある。それでいい」「今、私はこう感じている。それでいい」
最初は、抵抗を感じるかもしれません。
「いや、よくない!」という声が出てくるかもしれません。
ですが、何度か繰り返すうちに、心の奥で、少しずつ、力が抜けていくのを感じるはずです。
そして、もう一つ。
深く、ゆっくりと、3回、息を吐いてみてください。
息を吐くたびに、抵抗を手放していくイメージで。
これだけでも、心は驚くほど軽くなっていきます。
あなたは、もう苦しまなくていい
私が催眠を通じて見守ってきたのは、たくさんの「解放」の瞬間です。
長年、苦しみを抱えてきた人が、それを「受け入れる」ことで、ふっと表情が緩む。
肩の力が抜ける。
「なんだ、こんなに楽になれたんだ」とつぶやく。
そのたびに、私は確信します。
苦しみから解放される鍵は、外側にあるのではない。
あなた自身の中に、ずっとあったのだと。
催眠という技術は、その「受け入れる」というプロセスを、深層意識のレベルで、優しくサポートすることができます。
頭ではわかっていても受け入れられないことを、心の深いところで、本当に受け入れていく。
その手助けができるのです。
あなたは、もう、苦しみと戦わなくて大丈夫です。
戦うのをやめたとき、苦しみは、静かに去っていきます。
ぜひ、まずは一つ、今あなたが抵抗していることを、「それでいい」と認めてみてください。
その小さな一歩から、あなたの解放は始まります。
