21-05 | 催眠中に怖いことが起きたらどうする

「催眠中に怖いことが起きるのではないか」という恐怖心を持つ人は多いです。

あるいは、実際に催眠中に不安な状態になった人もいるでしょう。

これについて、実際のところを説明しましょう。

催眠中に何が「怖い」のか

催眠に対する漠然とした恐怖の正体は、主に以下のものです。

1. コントロールを失うことへの恐怖

自分の意識がどこにあるのか分からなくなる、自分の意志で動けなくなるのではないかという恐怖です。

これは、自分の身体や精神が他人に支配されるのではないかという不安から来ています。

2. 思い出したくない記憶が浮かぶことへの恐怖

「催眠中に、忘れていたトラウマが突然浮かぶのではないか」という恐怖です。

実際に、トラウマ処理を目的とした催眠では、そうしたことが起きることもあります。

3. 目覚めなくなるのではないかという恐怖

「催眠状態から本当に目が覚めるのか」という根拠のない不安です。

これは映画などの誇張表現の影響を受けている人に多いです。

4. 妙なことをさせられるのではないかという恐怖

ステージの催眠ショーなど、大衆文化の影響で「催眠にかかると、自分の意志に反して行動させられる」という誤解を持つ人は多いです。

実際のところ:催眠中に起きる「怖い」こと

正直に言いましょう。

催眠中に、不安感や恐怖感が生じることは、あり得ます。

例えば、トラウマ処理の催眠では、意図的に不安定な感情状態をもたらすことがあります。

その過程で、「このままどんどん不安になったらどうしよう」という恐怖が生じることもあります。

あるいは、催眠中に予期しない記憶が浮上することもあります。

その時点では、その記憶が何なのか理解できず、純粋な不安感だけが残ることもあります。

しかし、これらは「危険」ではありません。

むしろ、心理的な癒しと変容の過程で、必ず経験する段階です。

催眠中に怖くなった時の対処法

では、実際に催眠中に怖くなった時、どうするか。

1. 目を開ける

最も単純で、最も効果的です。

多くの人は「催眠中は目を開けてはいけない」と思っていますが、そんなルールはありません。

いつでも目を開けられます。

目を開けた瞬間に、催眠状態は解けます。

2. 深呼吸をする

催眠師に「今から深呼吸をしても大丈夫」と確認を取り、自分のペースで深くゆっくりした呼吸をします。

深呼吸は副交感神経を優位にし、恐怖心を軽減させます。

3. 催眠師に合図を送る

事前に「怖くなったら、右手の人差し指を立てます」というような合図を催眠師と決めておくといいでしょう。

すると、催眠師は誘導を調整し、より安心感を高める言葉をかけてくれます。

4. 催眠から出ることを伝える

「この状態から出たいです」と伝えれば、催眠師は確実にセッションを終了させます。

催眠は、本人の意志で終わらせられます。

これが重要です。

怖くならないための事前対策

実は、大多数の怖い経験は、事前の準備と催眠師との信頼で防ぐことができます

1. 催眠師と十分にカウンセリングをする

セッション前に「今日は何が起きるのか」を詳しく説明してもらいます。

不確実性が減るだけで、恐怖は大きく軽減されます。

2. 催眠の仕組みを理解する

「催眠とは何か」について、科学的な知識を持ちます。

脳はどういう状態になるのか、なぜ暗示が効くのか、目覚めはどうやって起きるのか。

理解が深まれば、漠然とした恐怖は消えます。

3. 催眠師を完全に信頼する

信頼できない催眠師の下では、いかなる準備があっても恐怖が残ります。

催眠師を選ぶ時点で、最大限の注意を払うべきです。

4. 事前に軽い催眠を体験する

いきなり深い催眠を目指さず、軽い催眠の体験を複数回重ねます。

脳が「催眠状態は安全だ」と学習すれば、恐怖は消えます。

トラウマ処理の場合の注意

トラウマやPTSDの処理を目的とした催眠では、意図的に不安感が生じることがあります。

これは「治療の過程」であり、危険ではありません。

ただし、この場合は催眠師の技量が極めて重要です。

不安感を引き出しながらも、同時に「あなたは安全だ」というメッセージを脳に与え続けます。

この微妙なバランスが、プロの催眠師には必須のスキルです。

実例:怖い経験をした人の回復

Eさん(女性、50代)は、トラウマ処理の催眠中に突然不安感に襲われました。

その時、彼女は完全にパニック状態になり「このまま狂ってしまうのではないか」と思ったといいます。

しかし、催眠師が「今、あなたは安全です。この不安は記憶からきた感情ですが、記憶は過去のものです。現在、あなたを傷つけるものは何もありません」と何度も繰り返したことで、徐々に落ち着きました。

その後、セッションを終了し、翌週に再度チャレンジしました。

今度は、その不安感が何からきているのか理解できたため、催眠中に直視でき、その結果、深いトラウマ処理ができたといいます。

つまり、「怖い経験」も、適切に対処すれば、むしろ心理的な成長につながるのです。

実践ポイント

  • 催眠中にいつでも目を開けられることを理解する
  • セッション前に、詳しいカウンセリングを受ける
  • 催眠師を完全に信頼できるまで、セッションは受けない
  • 軽い催眠を複数回体験してから、深い催眠に進む
  • 怖くなったら、合図を送るか、セッション終了を申し出る

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